選択された部分を音声で聴くにはJavaScript が必要です

【香川から世界へ】世界に誇る逸品XIII[周産期電子カルテ]

香川県海外ビジネスチャンス活用支援事業 インドネシアの母子を救え!

ミトラの周産期電子カルテ
“ハローベイビープログラム”

ハローベイビープログラムのパッケージ写真

 人口減少による市場規模の縮小や人手不足の深刻化など、地方経済はさまざまな課題を抱えている。そこで、香川県は全国に先駆け5年前に「香川県産業成長戦略」を策定した。この戦略の柱の一つが海外展開を希望する企業へ、さまざまな支援を行う「企業の海外展開の促進」である。例えば、(独法)日本貿易振興機構(ジェトロ)との連携により、優秀な技やシステム、製品を有する県内企業が積極的に海外展開に踏み出せるよう、現地情報の提供や商談会などを開催。また海外展開を担う人材の育成にも努めてきた。今回は、そうした支援により、現地法人を立ち上げたミトラ(本社高松市林町・社長藤井篤人)の取り組みを紹介する。

 ミトラの主要な事業内容は、「周産期電子カルテ」や「周産期見守りネットワークシステム」、「電子問診票システム」や「産科画像ファイリングシステム」などの開発販売。また、IOTの高齢者見守りシステムの開発など、いわばITにより社会問題の解決を手助けする企業である。なかでも周産期電子カルテ「ハローベイビープログラム」は、日本全国の周産期医療を扱う基幹病院で導入されている。この開発の背景にあるのは24時間の対応が必要な産科の医師不足。日本の未来を考えれば深刻な問題である。そこで、医師の助けとなるプログラムの開発に取りかかった。そうして生まれた「ハローベイビープログラム」は、中核病院と地域の病院をつなぐ重要な役目を担う。10年ほど前に妊婦のたらい回しが社会的な問題となったが、この電子カルテにより、確実なデータを共有することで、円滑な連携や引き継ぎが可能となった。また、岩手県においては大震災の後、このプログラムにより、多くのデータを守ることができたのだ。この日本での実績をもとに、インドネシア進出となる。

データ共有の写真

データのやりとりはもちろん、日本とインドネシアの双方のエンジニアが、テレビ会議やクラウドサービスを活用して、より良いプログラムの開発に取り組んでいます。

テレビ会議では資料を画面に映し、また会話を文字にして、行き違いがないよう工夫しています。

 インドネシアの年間出産数は2015年に約500万人。しかし、妊産婦の死亡率は10万人あたり305人※1。ちなみに日本においては10万人あたり3.8人※2であった。つまり、出産において、救えるはずの命が失われたことになる。

※1 Profil Kesehatan Indonesia 2015より

※2 厚生労働省 厚生統計要覧(平成28年度)より

 インドネシアでは、カルテが紙ベースである上にその管理を妊婦自身が行う。病院も取り扱うが、管理状況が不完全であるため、原因がよく分からないという理由で、帝王切開が頻繁に行われているという。

 そこでミトラでは、2017年1月、西ジャワ州の州都・バンドンに現地法人「PT(ピーティー).MITLA(ミトラ) ITLABORATORY(アイティラボラトリィ) INDONESIA(インドネシア)」を立ち上げ、周産期管理システムの普及に取り組んでいる。この立ち上げにおいて、「香川県海外ビジネスチャンス活用支援事業」制度を使い、税務相談などを含めスムーズな展開ができたという。

 システムの導入により、電子カルテが、検査漏れのチェックシートにもなり、手順書や指導書の役目も果たしている。

 また、保険制度も含め、これから整備が進むインドネシアだからこそ、さまざまな試みを行い、数々のデータを取得できるというメリットもある。その実績を今度は日本の医療現場で生かすことができるのではと期待している。

 今後の目標は、何より妊産婦の死亡率を下げ、その実績をインドネシア全土に広げ、ブランドを確立することである。“ミトラ”※3とは、現地の言葉では“仲良し”という意味がある。インドネシア、ひいては東南アジアの国々と寄り添い、多くの母子を救うことを願っている。

※3 会社名「MITLA」(ミトラ)は、メディカルITラボラトリィ(Medical ITLaboratory)の頭文字。

スタッフの写真
インドネシアのバンドンにある「PT.MITLA ITLABORATORY INDONESIA」のスタッフ。