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【対談】本州四国連絡高速道路株式会社 代表取締役社長 三原 修二

対談の写真

瀬戸大橋30周年 未来永劫(えいごう)の架け橋を目指す

知事 1988年春に開通した「瀬戸大橋」は、今年で30周年を迎えます。日本で最初に国立公園に指定された瀬戸内海に架かる六つの橋の姿は、今も多くの人々に感動を与えています。この世界に誇る巨大橋の高速道路の管理を担っておられる本州四国連絡高速道路株式会社 代表取締役社長の三原修二さんにお話を伺います。昨年はイコモス(国際記念物遺跡会議)の国内委員会により、後世に残したい「日本の20世紀遺産20選」に瀬戸大橋が選ばれましたが、架橋の技術力が高く評価されたものと伺っております。

三原 瀬戸大橋の完成により、本州と四国が初めて陸路で結ばれ、その結果、人と物の流れが劇的に変わり、社会に大きなインパクトを与えました。架橋技術の面でも画期的で、大水深、強潮流下での海中基礎の建設を可能にした「設置ケーソン工法」※を開発しました。また、金属疲労を軽減するための疲労設計法や特殊な軌道伸縮装置などの開発により、世界最大級の道路鉄道併用のつり橋を実現しました。こうした技術が評価され、「日本の20世紀遺産20選」の一つに選定されたことは、大変名誉なことと受け止めております。

知事 イコモスの選定により、交通の大動脈としてだけでなく、観光資源としての期待もさらに高まりました。また、昨年は念願の坂出北インターのフルインター化事業も実現に向けて動き出し、産業や観光振興にも大いに役立つと考えております。

三原 おかげさまで交通量は年々増加し、2016年度は開通時の2.2倍、一日あたりの平均の通行台数が2万2千台となりました。生活、物流、観光など、あらゆる面で瀬戸内地域の暮らしを支えています。

 また、インバウンドも含め香川県を訪れる県外観光客数は、大変好調であると伺っております。当社でも環境省と国立公園オフィシャルパートナーシップを結び、またJR四国とも協定を結んで、瀬戸内地域の魅力を発信し、誘客、地域振興などに取り組んでいます。加えて当社が運営いたします与島パーキングエリアでは、瀬戸内海の景観を最大限楽しんでいただくため、現在、エレベーターを設けるなどの展望台周辺の整備や、地元の特産品を使ったメニューや商品開発も進めているところです。

 坂出北インターチェンジのフル化については、四国における交流の玄関口としての機能が大いに発揮され、ますます多くの方にご利用いただけるのではと期待を寄せています。

知事 瀬戸大橋は、新幹線規格で整備された道路鉄道併用橋であるにもかかわらず、いまだに有効活用されておりません。現代において、新幹線は標準的なインフラであると考えられますので、道路と合わせ災害などにも役立つ新幹線整備の実現に向けて取り組んでいます。そのためにも、建設当時は100年続く橋を目指すといわれておりましたが、100年といわず、200年変わらぬ強固な橋を願わずにはいられません。

三原 今や生活になくてはならない瀬戸大橋ですが、容易に架け替えができるものではありません。ですから、アセットマネジメントの考え方を導入した体系的な予防保全を基本とする維持管理が重要になります。海峡部の鋼鉄製の橋で、特に気をつけなければならないのは(さび)と亀裂です。橋桁と主塔の塗装面積は合計約180万平方メートル、甲子園球場140個分に相当し、錆予防のための塗装に約20年もかかります。そのため現在はより耐久性があるフッ素樹脂塗料を採用しています。さらにロボットを活用して安全かつ効率的に塗装状況を確認するための試験点検も行っています。また、大型車が繰り返し走行しますので、溶接部分に亀裂が生じる可能性があります。その点検には赤外線サーモグラフィを用いた「温度ギャップ検出法」という技術を開発しました。こうした安全性と作業効率の高い点検により、200年以上、さらには未来永劫利用できる橋を目指しています。新幹線につきましては、今後、四国の新幹線構想の進捗(しんちょく)にあわせ、当社としましても必要な対応を進めてまいりたいと考えております。

知事 技術力に支えられた瀬戸大橋の素晴らしさをさらに実感いたしました。今年は瀬戸大橋開通30周年の記念事業が開催されますが、国内外の多くの皆さまに瀬戸大橋と瀬戸内海の魅力、さらに香川県の良さも知っていただきたいと考えております。今後ともぜひお力添えをお願いいたします。本日はお忙しい中ありがとうございました。

三原 修二さんの写真

本州四国連絡高速道路株式会社
代表取締役社長
三原 修二
1946年、大分県出身。東北大学卒業後、川崎重工業株式会社に入社、その後、副社長、顧問を経て2012年には本州四国連絡高速道路株式会社 代表取締役に就任。
香川県と本州を結ぶ瀬戸大橋が今年4月で30周年となり、記念式典やイベントなどが各地で開催される。

※設置ケーソン工法:海中に鉄製の枠を沈め、枠の中にコンクリートを流し込み構造物を造る工法