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香川に住んではじめたこと

「望遠鏡に導かれた、(つい)棲家(すみか)
天体望遠鏡博物館 技術顧問

大型望遠鏡の展示室と吉川さんの写真
「今はインターネット上で多くの星の写真を見られますが、望遠鏡でじかに見る月や星は感動の質が違う。その感動を知ってほしいです」と吉川さん。大型望遠鏡の展示室で。

 12歳で星空に魅せられた吉川善久さん。31年前に、オーダーメイドの天体望遠鏡を製作する会社「ヨシカワ光器研究所」をふるさと熊本県で立ち上げた。以来、天文愛好家や天文台などの専門施設から依頼を受けて望遠鏡を作り、業界ではその高い性能で知られる存在となった。

 10年ほど前、吉川さんに劣らぬ天体ファンの顧客から、「収集している望遠鏡を展示する博物館を造ろうと思う」と、開館に向けて機器の修復作業を頼まれた。その顧客こそ、現在吉川さんが技術顧問を務める天体望遠鏡博物館の代表理事・村山昇作さん。「天体ファンの裾野をもっと広げたい」という熱意に打たれ、会社も住まいも香川に移し、開館準備室で4年にわたり、リペア作業を行った。

 2016年、天体望遠鏡博物館がオープン。世界的にも珍しいこの施設に、愛着も責任感も抱くようになった吉川さんは、香川に残り、自社の仕事と並行して、博物館に次々寄贈される望遠鏡の修復を行おうと決めた。

 「気候も人も穏やかな香川県は、終の棲家に適した土地です。熊本ではラーメン派でしたが、すっかりうどん好きになり、妻と一緒に週2、3回はうどん店を巡っています」と吉川さん。瀬戸内海を見下ろす高台に住まいを構え、ふるさとの熊本、子どもたちの住む東京やオーストラリアにもたびたび出向く。

 大好きな望遠鏡とともに穏やかなセカンドライフを送りながら、世界へ、星空へと、好奇心の翼も広げ続けている。

吉川善久さんの写真
吉川善久さん
12歳の時に自作した望遠鏡で月面を見て以来、天体と望遠鏡に心を奪われる。役所勤めを辞め、37歳で天体望遠鏡の製作会社を起業。

天体望遠鏡博物館の写真
天体望遠鏡博物館は、土日と、祝日の金曜と月曜に開館。四国霊場八十八カ所の結願寺、大窪寺近くの、廃校になった校舎を再生した。

望遠鏡と吉川さんの写真の写真

リペア作業中の吉川さんの写真
リペア作業中の吉川さん。望遠鏡の製作も修復も、「見え味」の生命線である、ガラス(ミラー・レンズ)、設計、施工の精度を極めるのがモットー。

寄贈された望遠鏡の写真
複数の展示室に、公共施設や個人などから寄贈された、貴重なものから思い出の品までが、楽しげに並ぶ。

大型望遠鏡で見る夜空の写真

大型望遠鏡の写真
太陽を直接見られる望遠鏡などで、昼間も観望を楽しめる。月に1回、夜間の天体観望会も開催。大型望遠鏡で見る夜空に、歓声が上がる。