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【香川から世界へ】世界に誇る逸品XIV[オリーブ]

オリーブ研究百十年 世界が認める品質と評価技術

日本で唯一、明治時代からオリーブ生産を続けて来た香川県。
その歴史は今年で110年を数える。この間、積み上げてきた研究により、
今や香川のオリーブオイルは世界が称賛する品質となった。
研究の拠点である「小豆オリーブ研究所」は
2018年春、リニューアルオープン。
世界レベルの産地を担い、新たなステージに踏み出す
研究所の歩みと今を紹介する。

オリーブの大樹の写真
小豆オリーブ研究所にあるオリーブの大樹。高松宮さまがフランスより持ち帰られた苗木を1933年(昭和8年)に小豆島町西村のオリーブ試験地に植え、さらに現在の場所に移植したもの。

 キリスト教の伝来と共に日本にやって来たオリーブオイルは、鎖国時代、蘭方医が薬として使っていたという。明治に入り、国産オイルを作るため、国はフランスやイタリアから苗木を取り寄せたが、順調な成長が困難であった。そこで、農商務省が、三重・鹿児島・香川の3県を選んで試験栽培を始め、香川県のみが試験地として継続することになった。1908年(明治41年)春、519本の苗木を植えたこの時から、日本のオリーブ研究も本格的にスタートした。

 国の試験地からオリーブが広がったのは1917年(大正6年)。試験地で育てた1220本の苗を、小豆島をはじめ県内各地に配った。5年後には、研究の集大成を冊子にまとめ、日本での採油や塩蔵加工技術の確立を果たす。

オリーブ試験地の写真
大正時代撮影(推定)のオリーブ試験地。現在のオリーブ公園ギリシャ風車の東南部側から山側を撮影したもの

道の駅・小豆島オリーブ公園の写真
オリーブ試験地は、現在の「道の駅・小豆島オリーブ公園」となった。

 試験地は、戦後、香川県農業試験場小豆分場としてオリーブの研究を続けた。同分場が確立した繁殖や病害虫に対する技術、優れたオイル用品種の普及により、香川県におけるオリーブの栽培面積は飛躍的に拡大する。2011年、小豆分場を「小豆オリーブ研究所」に改称。世界に向けての、技術開発にいよいよ磨きがかかる。

小豆オリーブ研究所の写真
小豆オリーブ研究所

 また同年、実をつぶさず果実中の含油率を測定できる簡易調査法を開発し、それぞれの目的に適した収穫時期の判定まで可能にした。2013年には、ロサンゼルス国際エキストラバージンオリーブオイル品評会において、香川県産オイルが、金賞7点、銀賞8点という結果を出した。これは、オリーブ研究所が推進した小型採油機や官能評価技術の導入によるところが大きい。

 一方、日本はエキストラバージンオリーブオイルを定義する基準が整備されていなかった。そこで、2014年には国際規格に準じた県独自の評価基準を設け、「かがわオリーブオイル品質評価・適合表示制度」がスタートする。

 国際規格においても、県の品質評価基準においても、テイスティングによる「官能評価」が重要である。研究所は2016年、本格的な官能評価業務を開始。翌年にはAOCS(アメリカ油化学会)の官能評価能力試験において、最優秀賞を獲得した。今では、その高い技術力を持って、県産オイルの品質向上を支えている。

 本年は、イタリアで出版されているオリーブオイルのガイドブック「FLOSOLEI(フロスオレイ)」で、香川県の企業が高得点を獲得。イタリア南部のソレントで開催されたオリーブオイル品評会でも1点が特別賞、3点が優秀賞を受賞した。

テイスティングの写真
官能評価試験で行うオリーブオイルのテイスティング

最優秀賞の認定証の写真
AOCS(アメリカ油化学会)の官能評価能力試験における最優秀賞の認定証

 品質を守り高めるため、研究所は、二つの育成に力を注ぐ。パネラーと呼ばれる官能評価の人材育成と、香川県オリジナル品種の育成である。2017年に日本初のオリーブ新品種として開発した新漬けとオイル兼用の品種「()オリ3号」とオイル専用の品種「()オリ5号」の特性を最大限に生かすため、栽培技術の開発に日々いそしんでいる。香川県オリジナル品種によるオリーブオイルが、世界から称賛を受ける日もそう遠くないはずだ。

 110年間の研究を礎に、オリーブの栽培、加工、評価技術にわたり、世界に存在感を示す香川県。今後は発祥の地として、日本のオリーブ界を牽引(けんいん)し、ますます世界をうならせたいと願う。

香オリ3号の写真
香川県オリジナル品種「香オリ3号」