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【香川から世界へ】世界に誇る逸品XI[小原紅早生]

冬を彩る紅い蜜柑「小原紅早生」

日本一面積が狭い香川県、しかし
この小さな県には驚くほど優れた農産物があふれている。
果物では、イチゴ、モモ、ブドウ、ナシ、キウイ、ミカンなどなど、
四季折々に世界を魅了する味が続々と収穫されている。
その中には、世界のどこにもないフルーツとして生まれた
香川県オリジナル品種という貴重なものもある。
その一つが温州(うんしゅう)ミカンの「小原紅早生」である。
味が良いのはもちろん、「日本一紅いみかん」として、世界にめでたさを広げている。

瀬戸の潮風を受けて

 「日本一紅いみかん」が発見されたのは、1973年(昭和48年)のこと。瀬戸内海を望む香川県坂出市のミカン農家で栽培されていた「宮川早生(みやがわわせ)」という温州ミカンの木に果皮が濃い紅色をしたミカンが見つかった。枝変わりという突然変異で生まれたこのミカンは、発見者の小原幸晴(おばらゆきはる)さんの名前を冠して「小原紅早生」と命名された。

 突然変異で生まれたものは、親より劣った形質になることもあるが、この紅いミカンは糖度も高く、濃厚な食味を持っていた。「これは他にない素晴らしい品種になる」と誰もが確信したものの、品種登録までには20年の歳月を要している。新たな品種に期待する人たちにより、幾度も調査や栽培試験が繰り返され、1993年(平成5年)に香川県オリジナル品種としてようやく登録がかなう。

正月に華を添える

 この至宝のミカンが、「おいしい紅いみかん」として香川発でその知名度を上げ、世界へ向けて輸出の検討が始まったのは2007年(平成19年)のことであった。実は、国内での販売当初、見たこともない紅い果皮に戸惑う人がいるほどであった。そこで、赤を縁起の良い色とする中華系の人々にこの希少なミカンを知っていただきたいと、台湾、香港への輸出が始まる。

 特に中華系の人々の間では、「春節」と呼ばれる旧正月に小玉ミカンを贈り合う風習があり、紅い「小原紅早生」は確実に人気が出ると考えられたが「春節」は日本の1月や2月であるため、出荷するミカンは年を越しての収穫となる。この「越冬みかん」は、収穫まで果実に養分を送り続けるため、その年に花をつけることができず、2年に一度しか収穫できない。その上、枝でしっかりと熟すため、傷みやすいという難点もある。そこで、実を一つ一つ袋でくるみ大切に出荷する。栽培にも出荷にも相当な手間を掛け、世界最高レベルの味が届けられるのだ。

台湾の写真1

クリスマスソングに乗せて

 台湾では多くの方に味わっていただけるよう、12月にさまざまなピーアール活動が行われている。その一つは、デパートなどでのクリスマス商戦に合わせて、「小原紅早生」を売り込むというもの。緑のもみの木の隣で鮮やかな紅色がひときわ目を引く。

 また、シンガポールやマレーシア、香港といった台湾以外の国や地域でも、官民が連携して輸出拡大の取り組みが進行している。その効果もあり、知名度は徐々に上がりつつある。

 今や国内では、糖度が高く濃厚な甘みが知られるようになり、贈答用としても高い評価を得た「小原紅早生」。海外でもこの色と味は、数多くのファンを獲得していくことだろう。まずはこの冬、味も色も希有(けう)なその世界を堪能してみてはどうだろうか。

台湾の写真2
台湾では、店頭はもちろんメディアなどにも「小原紅早生」のおいしさを積極的にアピールした。