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【対談】華道家元池坊 次期家元 池坊 専好

対談の写真

花のチカラでつながる文化

知事 「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会文化・教育委員会」の委員にも就任された池坊さんは、2015年にお名前を法名の専好さんに改められ、「池坊」の次期お家元として活躍を続けておられます。池坊は、1462年、専慶(せんけい)氏がいけた花が京都中の評判になったと歴史に記されてから今年で555年を迎え、その発祥の地が京都の六角堂と伺いました。

池坊氏 いけばなは仏教が日本に伝わり、仏様を荘厳する「仏前供花(ぶつぜんくげ)」から始まりました。池坊は、代々池のほとりに坊を構え、仏様にお花を立てていました。それを日々行っていたところ、中に卓越した花の名手が現れ、いつしか「池坊といえばいけばな」というふうになりました。ですから、「仏前供花」という原点を忘れないために、後を継ぐ家元は六角堂の住職を兼ねることになっています。六角堂は、親鸞ゆかりの寺でもあります。人々の心のよりどころとして、花を中心に人が集い、情報交換を行い、元気をもらう場所でもあるんです。

知事 花の集いといいますと、今年2月、「池坊全四国連合花展」が、香川県では8年ぶりに開催されました。専好さんも来県なさり、県花県木であるオリーブやモモの枝物などを使って特別出品をくださったこと、感謝しています。

池坊氏 花というのは、その土地の気候や風土を如実に表しています。ですから、できるだけその土地の花を使うようにしています。香川を象徴するオリーブは、ぜひとも使いたいと思っていました。他にもモモなどの美しい花がたくさんありましたので、インスピレーションをかき立てられ、楽しいひとときを過ごしました。実は香川県には昨年、お遍路でまいりました。お大師様をとても近くに感じ、行く先々でのお接待文化に、温かい人のつながりを感じることができました。

知事 香川を巡ってくださったとのこと、うれしいですね。ところで、専好さんが副会長を務めておられる公益財団法人日本いけばな芸術協会の主催による「創立50周年記念日本いけばな芸術四国展」が香川県も共催し、今年の10月5日から10日までの会期で開催されます。

池坊氏 日本いけばな芸術協会は、東京と大阪で本部展を、それ以外に地区展を行っていますが、実は地区展の第1回は香川県でした。協会設立50周年という節目の年も香川県で開催する運びとなり、不思議なご縁を感じます。香川県産の花卉(かき)も使わせていただき、サンポート高松や玉藻公園披雲閣、栗林公園の屋外も使って各会場を花で彩ります。見に来られた方々の心にも、たくさんの花が咲くよう願っております。

知事 県民の皆さんはもちろん、全国の皆さんをおもてなしの心でお迎えし、貴重ないけばなの芸術にふれていただきたいと思っております。ところで、専好さんというお名前は、次期お家元の前に3名おられると伺いました。

池坊氏 歴代の専好はそれぞれに偉業を成し遂げました。桃山文化の担い手の一人であった初代専好を主人公にした映画が、6月に封切られます。初代専好は、前田利家の館で豊臣秀吉のために大作をいけました。命がないがしろにされる戦国時代に、傷つけ合うのではなく、花のチカラで秀吉に一矢報いるという物語です。いけばなは、それぞれの花がそれぞれの働きをし、調和した世界を創り出すという象徴でもあります。その花を通じて命と向き合ういけばな文化を、日本はもちろん世界中の方に知っていただきたいですね。

知事 興味深いこの映画の題名は「花戦(はないく)さ」と伺いましたが、実は香川県では、昨年2月から高校生の「花いけバトル」という催しを開催しています。今年は8月19・20日に「全国高校生花いけバトル栗林公園杯2017」を香川県で開催いたします。各地区ブロック大会の高校生チャンピオンを招き、日本一を決定する計画です。

池坊氏 「花いけバトル」や池坊の「花の甲子園」などを通して、若い方が花に興味を持ち、花をいけることの喜びや楽しみを知り、花の文化の担い手であるという思いを、自分たちも抱いていただきたいですね。日本の花は、色も姿も美しく、持ちも良く、世界でも高い評価を得ています。花の生産者も若い方が多く、将来性の高い産業の一つであると思います。花を媒介として経済が循環し、その地域や国が豊かになればと願っています。

知事 香川県は、日本一のシェアを誇るマーガレットをはじめ、県オリジナル品種であるカーネーションの「ミニティアラ」、ラナンキュラスの「てまり」シリーズ、これからの季節はヒマワリ、輪ギクなど、1年を通して花の栽培が盛んです。さらに、日本一の松盆栽の産地として、国内外から多くの愛好家が来県されています。これからも、花と緑の文化を大切に守り育てていきたいと願っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

池坊 専好さんの写真

池坊 専好(せんこう)
(華道家元池坊 次期家元)

1965年、京都府京都市生まれ。室町時代にその理念を確立させた華道家元池坊の次期家元。就任すれば初の女性家元継承者となる。大学卒業後に得度し、2015年には名跡「専好」を襲名。公益財団法人日本いけばな芸術協会の副会長も務め、「いのちをいかす」という池坊いけばなの精神に基づく多彩な活動を展開している。今年10月にサンポート高松や栗林公園などで開催される「創立50周年記念日本いけばな芸術四国展」にも同氏の作品が出展される予定。

作品の写真
「池坊全四国連合花展」における池坊専好氏の作品
(花材名:モモ、オリーブ、ニューサイラン、ユリ、オーガスタ、スイトピー、アスパラガス、バンダ、ドラセナ、デルフィニウム、フリージア)