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【対談】JR四国代表取締役社長 半井 真司

対談の写真

春の旅は香川から「しあわせぐるり、しこくるり。」

知事 半井さんは、昨年の6月に四国旅客鉄道株式会社の代表取締役社長に就任なさったわけですが、初めての四国出身の社長でいらっしゃり、大学では土木工学を専攻され、これまでに高松駅周辺の再開発事業も手掛けられたと伺いました。

半井 この4月に会社発足30周年という重要な年を迎えるJR四国において、重責を担うことになり、大変身の引き締まる思いです。私自身は工学部の土木出身、建設畑を歩いて10年目を迎える年に国鉄改革となり、四国へ配属になりました。それ以前の大阪時代から高松駅周辺再開発事業に携わらせていただき、瀬戸大橋開通に合わせ、新駅や線路の移設、あるいは駅ビル計画などに関わりました。そして2001年に新駅が完成。駅があるサンポート高松に今度は県立体育館が誘致されることになり、長い時間がかかりましたが、新駅と周辺開発の意義は大きいものがあったと改めて感じております。

知事 半井さんが手掛けられた高松駅やサンポート高松は、四国の旅の玄関口。いよいよ4月1日から、そこを一つの重要な拠点として、全国から四国に集客を図るという「四国デスティネーションキャンペーン(四国DC)」がスタートしますね。

半井 四国DCは、国鉄時代から行われている旅の集客イベント。ちょうど私が入社した1978年から始まりました。当時の国鉄、現在はJR各社と旅行会社、自治体、観光関係者が連携し、エリアに集中的にお客様を誘致しようというもので、四国での開催は14年ぶり。旅行会社がその目的地に向けたツアーなどを企画し、受地側は観光素材の開発などで受け入れ体制を整えています。「しあわせぐるり、しこくるり。」というキャッチフレーズで、四国を一周して楽しんでいただき、幸せになっていただこうと、さまざまなプログラムが準備されています。

知事 それぞれに魅力的なプログラムですが、観光列車も見逃せませんね。現在、愛媛県を走る「伊予灘ものがたり」は、非常に人気が高いと伺っておりますが、四国DCの始まる4月からは、新たな観光列車も運行されるということで、大変期待しております。

半井 松山〜八幡浜間の「伊予灘ものがたり」は、乗車率9割を超えるご好評をいただいております。当初は、私ども専属スタッフのおもてなしを中心に考えておりましたが、地元の方のさまざまな歓迎ぶりがお客様の感動を呼んでいます。これこそお遍路さんで培われてきた四国のお接待文化。新たな観光列車においても、その四国の良さが生かされると期待しております。

 新たな観光列車は、旅のイメージができるようなものにと考え、「四国まんなか千年ものがたり」と名付けました。運行するエリアは、香川県の多度津・琴平から徳島県の大歩危(おおぼけ)まで。弘法大師生誕の地があり、歴史があるこんぴらさんがあり、祖谷(いや)の平家落人伝説の里があり、それぞれに悠久の歴史がある文化の地を走ります。まず、次々と移り変わる景色が一つの見どころ。車両は四季の移ろいをイメージして、左右の色を変え四つのシーズンを表現しました。車内は日本のたたずまいをテーマに古民家風にしつらえております。食事や器にいたしましても、プレミアムな演出をご用意しました。さまざまな面で、四国に来たという旅の楽しみを味わっていただきたいと願っております。

知事 新観光列車は琴平も出発駅ということで、金刀比羅宮のご協力により、三千点を超える所蔵品の中から、普段は見られない重要文化財などが『こんぴらさんの“おたから”』展として特別公開されますね。例えば重要文化財の「なよ竹物語絵巻」、文化財である太刀の「菅原包則」など、これまでにないスケールでの“おたから”展です。また島々などでは、瀬戸内国際芸術祭で展開されたアート作品の一部を「ART SETOUCHI(アート セトウチ)」と称して、継続展示いたします。香川県にお越しいただければ、歴史に育まれた伝統美も、現代アートもたっぷりと楽しめるというわけです。

半井 金刀比羅宮の最寄り駅である琴平駅も、四国DCに合わせリニューアルいたしました。琴平駅は1923年に誕生した歴史ある駅、デザイン的にも人気がありましたが、ちょうど耐震補強も必要だったものですから、できるだけ当初の形に復元しました。さらに「四国まんなか千年ものがたり」専用の待合室も設置いたします。

 四国DCには体験型ツアーもいろいろ用意されていますが、興味深い場所の一つが小豆島です。寒霞渓、エンジェルロードや山岳霊場といった絶景に加え、例えばオリーブオイルブレンド体験やそうめんの箸分け体験などもできます。

知事 香川県では他にも、観音寺市の銭形砂絵に入り、砂ざらえ体験もできますね。瀬戸内海でシーカヤックを楽しむメニューなど、大勢の皆さんにお越しいただきたいと、各地で工夫を凝らしています。最後になりますが、鉄道と言えば四国の課題は新幹線計画。経済の活性化、観光振興、また災害対応や在来線の路線維持という意味でも必要なものだと考えております。整備中も含めて考えると、全国3分の2の都道府県まで行き渡った新幹線。今後は四国が一体となり、しっかり取り組んでいく必要があります。まずは、そのためにも「四国デスティネーションキャンペーン」を力を合わせ成功させましょう。本日は、お忙しい中、ありがとうございました。

半井真司さんの写真

半井(はんい) 真司
(JR四国代表取締役社長)

1956年、徳島県三好市生まれ。神戸大学工学部を卒業後、1978年に日本国有鉄道入社。JR四国常務などを経て2010年には専務に就任。食事しながら旅情が楽しめる観光列車「伊予灘ものがたり」の導入に当たって指揮をとるなど、鉄道事業の強化において手腕を発揮。2016年6月から現職。1987年のJR四国発足以降、初の四国出身の社長。

「しあわせぐるり、しこくるり。」のポスター