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香川に住んではじめたこと

「まんのうの食の力を伝えたい」
季節をたべる食卓numar

numar店内の写真
numarの店内で。3年かけて広い土地付きの空き家を探しあてた。クミンやカルダモンなどスパイスを効かせた料理が得意なので、「将来は本格的な香辛料の栽培にも挑戦したい」と言う淵上さんと奥さま。

愛犬ふーちゃんの写真

 「季節をたべる食卓numar(ヌマ)」は、讃岐山脈の入り口で、田畑の広がるまんのう町にある。福岡県で生まれ、子ども時代から10代までを香川県丸亀市で過ごした淵上義哉さんが、2年前にオープンした。

 大学で経済を学んでいた淵上さんだが、「論文を書くより、手を動かしてものを作りたい」と中退。料理の道を志す。調理師だった母親の影響で、おいしいものに対する興味は人一倍強かった。東京の料亭と湯布院の割烹(かっぽう)旅館で修業した後、香川に戻りイタリアンとインド料理店の厨房(ちゅうぼう)にも立った。国が違うと、食材からうま味を引き出す手法が違う。多彩な調理法に接したかったと言う。

 まんのう町に店を開いたのは、「土が肥沃(ひよく)で水がきれいな土地なので、おいしく新鮮な食材が手に入るから」。野菜は近隣の畑から直接譲ってもらうことが多く、山で捕れたシカやイノシシが手に入ることもある。また、店とともに購入した山を歩きながら木の実を集め、自生するタケノコ、ワラビ、クレソンなども採る。この地域の山菜は驚くほど滋味深く、それもここに店を開いた大きな理由だった。

 「レストランというより、食べる人がくつろぎながら、農業や山の食材の豊かさを感じられる空間をつくりたかった」と淵上さん。地域の持つ食の力をもっとしっかり伝えたいと、来春には隣の納屋で有機栽培野菜の販売も計画中だ。

 家族は、スイーツ担当の奥さまと愛犬ふーちゃん。3人でのんびり暮らしながらも、この地で描く夢は大きい。

淵上義哉さんの写真
淵上義哉さん
numarオーナーシェフ。耕作放棄された果樹園の下草刈りを行い対価として果実をもらったり、巣箱を置いてニホンミツバチを増やす活動も行っている。

香川県出身の奥さまとは、10代の頃知り合い料理修業から戻って結婚。愛犬ふーちゃんとは山やため池の周りを散歩するのが日課。

店内の写真1
淵上さんと奥さまの好きな雑貨や本、植物が置かれた店内。「食事をした後も、ゆったりくつろいでもらいたいですね」。

店内の写真2
昭和のたたずまいの民家を改装した店内の一部はDIYで。テーブルとイスは、同じく香川に住んで家具職人をしている弟さんが勤める工房のもの。

「一汁三菜と玄米ごはん」の写真
人気料理のペーパーチキンに、ビーツのポタージュなど野菜がたっぷりの「一汁三菜と玄米ごはん」。近隣の高瀬町産の玄米ごはんの他、ほぼ全て県内産の食材を使用している。

店内の写真3