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【特集2】うどん県のユニークなおもてなし

うどん県のユニークなおもてなし

江戸時代からお遍路さんやこんぴら詣での旅人を迎えてきた香川県には、
さまざまな「お接待」があり、中には珍しい「おもてなし」もある。
旅の思い出に、香川ならではのふれあい体験はいかがだろうか。

光頭会の写真

栗林公園で靴磨き

 その名もユニークな「さぬき高松光頭会(こうとうかい)」。名前の通り、満月のような頭の男性メンバー26人で構成されている。光っているのは頭だけではない。その活動は、県内外の人々の感動を呼び、輝かしい行為であると評判だ。

 「さぬき高松光頭会」は2008年秋、家にこもってばかりではなく地域に役立つ存在になろうと、6人が集まり知恵を出し合ったことに始まる。そして、翌年春から無料の靴磨きを栗林公園で始めることになった。

 高松市にある特別名勝・栗林公園は、代々の藩主が100年以上の歳月をかけて造り上げたという大名庭園で、その平庭部の広さは東京ドーム約3.5個分に当たる。北庭、南庭と巡り歩けば、最後に門を出る頃には黒靴も白く見えてくる。この履物のほこりを落としてさし上げれば、人々の笑顔を誘うだろうと考えたのだ。その通りで、靴を磨くことにより、旅人との間に和やかな時間が生まれる。ひととき冗談が飛び交い、笑顔の記念写真も残る。片言の英語でも日本語でも、共通の笑顔で通い合うものがあるという。

 池田会長は、独自で東日本大震災の復興のため、心に傷を負った人々の癒やしになり、また次世代の教訓となるよう、地道な活動を続けている。そうした経験からも、笑顔の大切さを実感しているという。にこっと笑って公園を後にしてくれたらと、その一念での靴磨きが、光頭会ならではの最高のおもてなしである。靴ばかりか、心さえも輝かせてくれる「さぬき高松光頭会」であった。

靴磨きの写真

「さぬき高松光頭会」の靴磨き
天候などにもよるが基本は毎週土曜・日曜・祝日の14時から16時に栗林公園東出口専用門付近で靴磨きの無料サービスを行っている。

【アクセス】
栗林公園前バス停から徒歩約1分/JR高松駅から車で約7分/高松空港から車で約30分/高松中央ICから車で約15分、高松西ICから車で約20分

「さぬき高松光頭会」の皆さんの写真

津田の松原でこくばかき

 さぬき市にある「津田の松原」は、瀬戸内海国立公園に位置し、およそ3千本の松が立ち並ぶ。長さは1キロ、広さは約10ヘクタール。樹齢六百年を超える七福神と呼ばれる幸運の老松も点在する。昔は、イナなどが泳ぐ小川が流れ、松露(しょうろ)が生えていたが、かつては貴重な燃料であったこくば(落ち葉)を集める人もいなくなり、いつしか雑草が伸び放題になっていた。これでは国立公園の名に恥じると、かつて松原の間を縫って駆け回り遊んでいた少年少女が、恩返しのつもりで清掃活動を始めたという。それが、1988年の秋、メンバーは8人、「八八松甦会(はちはちしょうそかい)」という縁起のいい名前の会となった。松原の定期的な清掃活動はもとより、苗から育てた松を近くの小学生と共に植樹したり、海開き前の一斉清掃に参加したりと、松原を守ってきた。

 設立から29年、現在の会員は9人、毎月8がつく日の朝、集合して清掃を行う。しかし、メンバーの高齢化は否めない。広大な松原で足腰をさすりながらの作業である。若い世代が活動をつなぎ、いつまでも美しい松原で、旅人を迎えたいと願うばかりだという。

 松原には、「わたしを5分間使って下さい」という看板の下に熊手が置かれている。こくばかきの思い出がよみがえる人、熊手の使い方を教わる人、旅の良い思い出になることだろう。

こくばかきの写真

「八八松甦会」の津田の松原清掃
天候などにもよるが、基本は毎月8のつく日の朝8時30分に津田の松原に集合し、清掃を行っている。

【アクセス】
JR讃岐津田駅から徒歩約8分/津田東IC、津田寒川IC、それぞれから車で約7分。

津田の松原の写真

八八松甦会メンバーの写真

熊手の写真

寛永通宝の砂ざらえ

 観音寺市にある琴弾公園では、有明浜の砂に描かれた周囲345メートルの巨大な「寛永通宝(かんえいつうほう)」が迎えてくれる。伝説では1633年(寛永10年)、当時の藩主をもてなすために、地元の人々が一夜にして造り上げたという。これを見るとお金に不自由しないという言い伝えもあり、金運のパワースポットとして訪れる人も少なくない。

 普段は山頂展望台から見下ろすだけで、中に入ることは禁止されている。しかし、年に2度の「砂ざらえ」の日だけ、銭形の中に入ることが許される。海岸の砂だけで造られた寛永通宝は、日がたてば形が崩れてくる。それを美しく整えて、また観光客をお迎えするため、ボランティアの手で行われてきた。

 この地元行事に、最近では県外からの参加者が増えてきた。文化遺産を守る活動に賛同の思いを寄せてくださる人々の協力である。また、中に入って「砂ざらえ」を行えば、金運の御利益もさらに強まるに違いないという話もある。思いはそれぞれだが、見知らぬ者同士、共に砂浜で汗を流すのは心地よい。おもてなしのために続けてきた寛永通宝の「砂ざらえ」だが、今では「エコツーリズム」の行事としても期待されている。

寛永通宝の写真

銭形砂絵「寛永通宝」の秋の砂ざらえ
天候などにもよるが、2017年は10月29日(日)、8時30分受け付けで9時開始予定。当日の飛び入り参加も歓迎で、どなたでも参加できる。問い合わせ先:観音寺市商工観光課TEL0875-23-3933

【アクセス】
JR観音寺駅から車で約5分/さぬき豊中ICから車で約15分、大野原ICから車で約12分

砂ざらえの写真