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【特集1】大名庭園で一服。

栗林公園・掬月亭の写真
栗林公園・掬月亭

庭園を楽しむなら慌てず急がず、
一服のお茶とともに。

 元は高松藩主の大名庭園であり、今や世界各国から観光客が訪れる「栗林公園」をはじめ、丸亀藩主が作庭させた「中津万象園」、高松城跡の「玉藻公園」など、香川県には歴史ある庭園が多い。散策するだけでも十分な見応えであるが、もう一歩踏み込んで、一服のお茶とともに景色を愛でる方法がある。そもそも日本庭園とお茶の結び付きは深い。江戸時代の貴人や豪商も、趣向を凝らした庭の眺めをお茶とともに楽しんでいたのである。

 おいしさに心がゆるむからだろうか、お茶を味わいながら眺める庭は、散策している時とは違う印象になる。もう一つの庭の姿、といえるかもしれない。正式なお茶席ではないので「作法が…」と難しく考える必要はない。時を超え、国境を越えて称賛される庭園を、お茶が導く開かれた心で堪能したい。

茶の湯は総合芸術

公益財団法人中條文化振興財団事務局長
中條晴之さん

中條晴之さんの写真

 「茶の湯」は堅苦しいイメージを持たれているが、本質は自由で楽しいもの。千利休が有名だが、彼の時代は戦国時代まっただ中。陣中見舞いとして、戦地の急ごしらえの小屋でお茶を出すことも珍しくなかった。もてなし、もてなされる「心」は大切にするが、必要以上に形にとらわれる文化ではないのだ。これまでの茶人も、新しい要素を取り込んで、自分たちの茶道を磨いてきた。現代なら、正座が難しい年配の方に配慮して椅子を置く茶室がある。ルールの中に自由があり、豊かに個性が発揮されるのが茶の湯だろう。

 ただ、長い歴史に洗われてきた文化である。相応の奥深さがある。寸法や材質、光の採り方など茶室は建築的な見どころの宝庫だし、茶器は用の美がある。菓子には季節が映されており、生け花や掛け軸にもメッセージが込められている。そういう意味で、茶の湯は総合芸術だと考えている。一つ一つの意味が分かってくると、格段に面白みが増す。

 幸いにも香川では、名園でお茶にふれる機会が多い。気軽に楽しんで、茶の湯を知るきっかけにしてほしい。

喫茶室の写真

月に一度の喫茶室を開催 中條文化振興財団

 茶道を柱に香川県で育まれた文化を広く知ってもらい、地元の人に郷土への誇りをもってもらうことを目的に設立された。財団が管理する茶室「美藻庵・晴松亭」は、茶道の流派を超えた交流の場として活用されている。同茶室では、毎月第3火曜日に「月に一度の喫茶室」として、初心者でも参加できるイベントを開催。