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〔新しい風〕よみがえる縄文時代の名品 うたう石「サヌカイト」

サヌカイトの写真

香川県には、“さぬき”と冠された岩石がある。
この地で産する珍しい石は、
縄文時代にすでに道具として珍重され、
現代では「天使の音色」とも称される響きで人々を魅了する。

縄文時代の特産品

 星のきらめきのような澄んだ音を奏でる石は、学名を「サヌカイト」という。和名は「讃岐岩(さぬきがん)」。1891年、ドイツ人地質学者のヴァインシェンク博士によって、香川県の旧国名にちなんで名付けられ、広く世界に知られることとなった。世界中でも、この石は香川県の高松市国分寺町や坂出市金山周辺などのごく限られた場所からしか産出しない。

 この石が生まれたのは、今から1500万年ほど前。瀬戸内地域に起こった火山活動で流れた溶岩が急激に冷やされ火山岩になったという。そうした岩石は幾つもあるだろうが、このサヌカイトの緻密さは群を抜いている。研究によるとその石基はガラス質である。

 サヌカイトは、また鋭く剥がれやすい性質も持っている。1万年ほど前の縄文時代には、やじりやナイフとして活用されていた。考古学の世界では、坂出市金山産のサヌカイト石器が、四国ばかりでなく、広く近畿・中国地方でも使われていたと証されている。その時代、サヌカイトはこの地の特産品であったのだ。

楽器になった石

 その音色には人の心を浄化させる力もあるのだろうか、古くは仏具としても使われた記録がある。かつては、大正天皇や英国皇太子にサヌカイトが献上された。1964年の東京オリンピック、その開会を世界に告げたのもこの音色だった。

 地元では「カンカン石」と呼ぶその石の響きは、鉄琴のようであり、オルゴールのようでもあり、古代から奏でられてきた石琴の名にふさわしい。そこで、サヌカイトの楽器が生まれた。それは、自然石の素朴さを生かしたものもあり、完璧に楽器として調整されたものもある。その深い音色に、著名な打楽器奏者が心奪われ、国内外で演奏活動を行っている。

サヌカイトの写真

地質学の名所

 香川県内では、県庁舎やサンポート高松、五色台、屋島などでサヌカイトに出合える。この石を使って作られる小さな石琴や風鈴は、栗林公園の商工奨励館やさぬき産業工芸館サン・クラッケ、屋島の土産物店で販売されている。坂出市の「さかいでブランド」認定品として、サヌカイト製のマウスパッドも登場した。「瀬戸内国際芸術祭2010」でもサヌカイトのコンサートが開催され、風鈴のお土産が世界の人を驚かせた。音楽療法としても注目されるサヌカイトのCDやこれらの土産は、穏やかな讃岐の気候と人情を伝えて、ゆかしく今も響く。

 このサヌカイトをはじめ庵治石や青木石など香川県には貴重な石が多く、地質学的に興味深い土地であることから、現在「讃岐ジオパーク」※構想が進行中である。うどんだけじゃない香川県は、石の世界でも名品ぞろい。地質学のメッカなのである。

栗林公園で販売されているサヌカイトの写真

サヌカイトの写真

※ジオパークとは、地質学的遺産を見どころとする自然の中の公園。
 ユネスコ支援により2004年に世界ジオパークネットワークが設立され、日本では島原半島などの5地域が認定されている。

(社)香川県物産協会
(栗林公園内)

TEL087−833−7412

さぬき産業工芸館
サン・クラッケ

TEL087−887−0306

坂出市産業課
TEL0877−44−5012